管理職を対象とした社員研修では、労務管理に関する教育が欠かせません。顧客ニーズの多様化、経済のグローバル化、情報化社会の進展、技術革新など、企業を取り巻く経営環境の変化に伴い、職場における労務管理のやり方も変化していくからです。従来、管理的な立場にある役付け社員は、部下に就業規則さえ守らせておけば、職場運営に支障が生じることはほとんどありませんでした。しかし、労働者の価値観や雇用形態の多様化に伴い、全社で一律に定められた就業規則だけでは、職場の労務管理上の問題を解決できないケースが増えているのです。社員研修では、労務管理の基礎知識の前に、まずはこのような背景をレクチャーすることが推奨されています。
会社の目的は利益を上げることにあります。ただし当然ですが、利益を上げるためには何をしてもいいということではありません。そのため管理職を対象とした社員研修では、法令を順守したうえで、利益を上げることの重要性を伝える必要があります。管理職の責任は、コンプライアンスを重視し、任された部署を取りまとめ、所属している部署の目標を達成させることを通して、会社に利益をもたらすところにあるからです。また、役員でなくても、部下を管理している役付け社員は、労働基準法上の使用者に該当します。つまり、法律に違反した場合は、罰則の対象になるのです。そのため社員研修では、労務管理の基礎知識に加え、労働基準法の概要もレクチャーしておくとよいでしょう。